寒冷凝集素症を知る 寒冷凝集素症とは?

動画でわかる寒冷凝集素症

寒冷凝集素症は、どんな病気?

寒冷凝集素症は、自己免疫性溶血性貧血の一種です。本来、病原体などを攻撃して自分の身体を守るはずの免疫系が、何らかの原因によって異常をきたし、自分の血液中の赤血球を攻撃してしまうことによって起こります。攻撃された赤血球は、身体の中心部の体温よりも少し低い温度になると、互いにくっついてかたまりになってしまい(凝集)、その後破壊されてしまいます(溶血)。

寒冷凝集素症は、どんな病気? イメージイラスト

寒冷凝集素症の患者さんは、どのくらいいる?

寒冷凝集素症はまれな疾患で、有病率は100万人あたり16人、年間発症率は100万人あたり1人といわれていますが、有病率、年間発症率とも実際にはもっと高い可能性があります1)。高齢の方に多いですが、30代で発症する場合もあります1)

寒冷凝集素症の患者さんは、どのくらいいる? イメージイラスト

寒冷凝集素症の原因は?

①寒冷凝集素症の患者さんでは、多くの場合、何らかの原因により、骨髄に異常が起こっています(「がん」など)。

①骨髄の異常 イメージイラスト

②骨髄は、赤血球や免疫細胞を作る工場です。
寒冷凝集素症の患者さんの骨髄からは、自分の赤血球に反応するようになってしまった免疫細胞が作られ、血液中に放たれます。

②自分の赤血球に反応する免疫細胞 イメージイラスト

③この免疫細胞は、寒冷凝集素を作って放出します。
寒冷凝集素は自己抗体の一種で、赤血球に悪さをします。

③寒冷凝集素の放出 イメージイラスト

寒冷凝集素症になると、体内でどんなことが起こる?

寒冷凝集素症の患者さんの体内では、免疫細胞が放出した寒冷凝集素が赤血球にくっつきます。すると赤血球は凝集し、その後破壊されてしまいます(溶血)。

①寒冷凝集素は身体の中心部の体温よりも低温の場所で、赤血球にくっつく性質があります。

①寒冷凝集素の結合 イメージイラスト

②寒冷凝集素が赤血球に次々とくっつくと、赤血球どうしも互いにくっつき、赤血球が集まったかたまりを作ります(赤血球の凝集)。
赤血球のかたまりが大きくなると手指・足先・耳・鼻などの血管で、細かい血管内の血液の流れが妨げられます(末梢循環障害)。

②赤血球の凝集 イメージイラスト

③赤血球にくっついた寒冷凝集素には、さらに血液中の補体という免疫物質が結合します。
補体にはいくつか種類があり、補体1が次の補体を、その補体がさらに次の補体を…というように、ドミノ倒しのようにして活性化されていきます。
補体が結合した赤血球は、免疫細胞に食べられたり、穴を開けられたりして、破壊されてしまいます(溶血)。溶血が進むと、赤血球の数が減り、貧血となります。

③溶血(赤血球の破壊) イメージイラスト

1)Berentsen S. et al.: J Blood Med 2019;10:93-103

MAT-JP-2304921-1.0-07/2023
最終更新日:2023年7月25日