患者さんの声 「からふる」私のCADストーリー Vol.1

*寒冷凝集素症

長引く体調不良の原因は思いも寄らぬ病気だった
「冷やさないように」、無理せず、病気とうまく付き合えるように

あーちゃさん(女性、50代)

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治らない風邪で受診、
重度の貧血から診断され緊急入院した

-診断までの経緯を教えてください。

5年くらい前の40代だったころ、風邪を引いてから1ヵ月ほど体調不良が続いていたため、かかりつけの耳鼻科を受診しました。それ以前から階段を上るときの動悸、疲れやすさや体のだるさも感じていたのですが、それは年齢的に「更年期なのかな?」と自分で思い込んでいて、風邪以外の病気を疑うことはありませんでした。
しかし耳鼻科では、顔色がひどく悪いということで血液検査をすると、結果がとても悪かったのです。貧血で黄疸がでていたのですね。すぐに内科へ行くようにと言われました。血液検査のヘモグロビン値は約6g/dL、正常値の半分ほどしかありませんでした。内科の先生も「これは大きい病院に行ったほうがいい」と、地域の医療センターにすぐに紹介してくださいました。血液検査結果を見た医療センターの血液内科の先生からも「すぐに受診してください」と連絡をいただいたため、最初の耳鼻科受診から医療センター受診まで3日ほどしかかかりませんでした。医療センターでは1回の血液検査で診断がつき、当日そのまま入院することになりました。
なかなか治らない風邪で少し体調が悪いけれど、薬をもらえばよくなるだろうと思って受診したわけですが、先生方が緊急の扱いで動かれていたことには驚きました。

病気についての情報が少なく、
そのうち治るだろうと思っていた

-診断されたときは、どのような気持ちでしたか?

最初は「自己免疫性溶血性貧血の冷式」と知らされましたが、初めて聞く言葉で、すぐには理解できませんでした。「ああ、そうなんだ」「貧血なんだな」「しばらく薬を飲んでいたら治るだろう」と本当に軽く考えていました。「寒冷凝集素症(CAD)」という病名や病気の特徴も、あとで説明されたはずですが、あまり記憶に残っていないのです。そのときは、とにかく情報がなく、あまり重く受け止めていませんでした。入院したのが6月、暖かくなる季節で、治療を開始して貧血もよくなっていったので、このまま貧血がよくなったら治るのだろうと思っていました。
寒冷凝集素症がとても難しい病気だということを知り、先々のことを心配しはじめたのは、診断からだいぶ経ってからでした。

-ご家族は、どのように受け止めていますか?

夫は私の病名を知っており、寒冷凝集素症のことを自分でいろいろ調べたようです。しかし、子供たちには病気のことはあまり詳しく話していません。難病とは言っていますが、心配させたくないため病名は伝えず、冷えを避ける必要があることや、どのような病気かという簡単な説明はしています。私が辛そうにしていると、洗濯物を干すなど、以前はやらなかった家事を家族がやってくれるようになりました。

-病気について、ご自身で調べたりしましたか?

診断されてすぐ病気のことをインターネットで検索しましたが、一般向けではないページしか見つけられず更新もされないので、読んでも意味がわからないままでした。最近になって病院で患者向けの冊子をもらい、これを読んでようやく寒冷凝集素症をよく理解することができました。珍しい病気ではありますが、自分の病気をスマートフォンで調べる人は多いので、もっとわかりやすい情報がインターネット上にあればと思いました。
また、インターネット上で少しやりとりするだけですが、同じ病気の方の存在を知って、情報交換ができる機会があり、心強く感じました。同じ病気の方と交流する機会があると、「そうよね。そういう冷えってよくあるよね」などと同じ立場でわかり合えるため、気持ちも軽くなるような気がします。

病気について、ご自身で調べたりしましたか? イメージ

とにかく体を冷やさないように、
冷える前の予防が大切

-日常生活で気をつけていることや
工夫していることを教えてください。

診断時から「体を冷やさないように」と言われているので、保温には気をつけています。しかし最初は、どれくらい冷えるとよくないのか、どこまでなら大丈夫なのか、加減がわかりませんでした。指先や足先が尋常でなく冷たくなってしまうような失敗を何回か繰り返して、冷やしてはいけないレベルや、自分なりの調節のしかたがわかってきました。いまは、日ごろから手袋をするなど、周りの人からは暑そうに見えるくらい保温しています。
主婦なので料理を毎日するのですが、生の魚や肉を触るだけでも指がどんどん冷えてきます。そのため、薄いビニール手袋をしながら、冷たいものをなるべく触らないようにして調理しています。

調理時のビニール手袋 イメージ

調理時のビニール手袋
薄い手袋が1枚あるだけでも、体と気持ちが少し楽になります。
*調理時の使用が推奨されていない製品もあります

また、夏でもスーパーなど冷房が強くて体が冷える場所があるので、出かけるときはいつも羽織るものを1枚鞄に入れて行きます。ストールを巻いたり、半そでにアームカバーをつけたりして出かけることもあります。
また、病院の中や病室も意外と寒いです。医療スタッフさんは動かれているので暑そうですが、病院では、ほかの病気の患者さんも羽織るものをたくさん用意していて、体感温度に差があるように思いました。病院の中も患者さんにとっての適温になるといいなと思います。

愛用のストールと手袋 イメージ

愛用のストールと手袋
体を冷やさないように、普段から気をつけています。

-冷え以外でお困りのことはありますか?

貧血がひどかったときには髪質が悪く、思うように髪がまとまりませんでしたし、強いイライラ感があって怒りの感情を抑えるのが難しいほどでした。このような症状は貧血が改善するとよくなっていたので、あとから考えると貧血が影響していたのかもしれません。
また、朝はとてもだるく、午前中は思うように動けないことがよくあります。子供を学校に送り出すなど、朝の家事を済ませたあとに1時間ほど横になると少し楽になるので、昼からまた家事をするようにしています。

ご自身の経験をふまえて、ほかの患者さんや同じような症状の方にアドバイスなどはありますか?

これまでの経験から、私の場合は、自分で「冷えた」と感じたときにはもう遅い、ということがわかってきました。ですから、とにかく冷やさないように、冷える前に温める。早めの予防が大切だと思います。なによりも、病気になってからは、自分に優しく、無理をしないように心がけています。

(2023年4月現在)

※すべての寒冷凝集素症の患者さんが同様の経過をたどるわけではありません。
ご自身の症状で気になることや治療に関することは、主治医またはお近くの医療機関にご相談ください。

「からふる」では、実際の体験談や専門家との座談会などを通じて、さまざまなCAD患者さんの日常生活の工夫や気持ちの変化をご紹介し、CAD患者さんのよりよい日々の助けになるようなコンテンツをお届けしています。

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MAT-JP-2307286-1.0-10/2023
最終更新日:2023年10月31日