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医学用語の解説
壊死(えし)
身体の一部の細胞や組織の死。
LDH
lactate dehydrogenaseの頭文字で、日本語では乳酸脱水素酵素と呼びます。LDHはあらゆる組織の中にあるため、血液中のLDHが増えると、組織の破壊が起こっていることがわかります。貧血があり、LDH値が上昇している場合は、赤血球の破壊(溶血)が起こっている可能性があります。
黄疸(おうだん)
血液中のビリルビン濃度が一定以上のときに、皮膚や白目が黄色がかってみえる状態。赤血球の破壊(溶血)により大量にビリルビンが生じているときなどにみられます。
温式AIHA(おんしきあいは)
温式抗体による自己免疫性溶血性貧血(AIHA)。温式抗体は体温に近い温度で赤血球にくっつく性質があります。AIHAのほとんどが温式AIHAです。
がん
細胞の設計図である遺伝子が傷ついた、異常な細胞(がん細胞)によって起こる病気。がん細胞は無制限に増殖し、身体のあちこちに飛び火(転移)し、栄養をどんどん奪うという特徴があるため、正常な細胞や組織の害となります。
寒冷凝集素(かんれいぎょうしゅうそ)
寒冷凝集素症の患者さんの血液中にみられる自己抗体(冷式抗体)の一種。自分の赤血球に反応するようになってしまった免疫細胞から放出されます。寒さ・冷たさにさらされ、身体の中心部よりも低温になった体の末端部分で赤血球にくっつき、赤血球を凝集させたり、補体を結合・活性化させて赤血球を破壊(溶血)したりします。
寒冷凝集素価測定(かんれいぎょうしゅうそかそくてい)
採血した血液から分離した血清に、寒冷凝集素が存在するのか、その量がどのくらいなのかを確認する検査。
凝集(ぎょうしゅう)
赤血球などの細胞がたくさん集まってかたまりになること。細い血管の中で赤血球が凝集すると、血管がつまって、血液の流れが妨げられてしまいます。
血小板(けっしょうばん)
出血が起こると活性化し、止血にはたらく細胞。
血栓症(けっせんしょう)
血のかたまり(血栓)で血管が突然つまる病気です。脳梗塞、心筋梗塞、深部静脈血栓症など、どこの血管がつまるかによって症状や病名は変わりますが、ほとんど何の前触れもなく突然発症することが共通した特徴です。
骨髄
骨の中にあるゼリー状の組織。造血幹細胞(すべての血液細胞のもととなる細胞)が豊富に存在し、赤血球や免疫細胞をつくる工場となっています。
骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)
造血幹細胞(すべての血液細胞のもととなる細胞)に異常があり、正常な血液細胞に成長できないことによる貧血。
骨髄検査
専用の針を用いて、骨髄液または骨髄組織を採取する検査。骨髄の細胞に「がん」などの異常があるかどうか、どのような異常があるのかを調べます。
再生不良性貧血(さいせいふりょうせいひんけつ)
造血幹細胞(すべての血液細胞のもととなる細胞)の減少による貧血。
自己抗体
何らかの原因により、自分の正常な細胞・組織をターゲットとして認識してしまった抗体。抗体は免疫細胞の一種であるリンパ球から作られ、本来は、病原体や異物・がん細胞などの異常細胞・老化した細胞をターゲットと認識して、これらを免疫細胞に食べられやすくしたり、中和したり、補体を活性化させることで排除したりするはたらきがあります。しかし自己抗体は自分の正常な細胞・組織に対してそのようにはたらいてしまいます。
自己免疫性溶血性貧血(じこめんえきせいようけつせいひんけつ)
自分の血液中の赤血球を攻撃する免疫成分(自己抗体)ができることにより、赤血球が破壊されて起こる貧血。英語では“autoimmune hemolytic anemia”と言い、その頭文字をとってAIHA(あいは)とも呼ばれます。
腎性貧血(じんせいひんけつ)
腎臓の障害により、腎臓から分泌される赤血球産生を促すホルモン(エリスロポエチン)が足りなくなることなどにより起こる貧血。
赤血球
血液中の細胞成分のほとんどを占めている、中央部がへこんだ円盤状の赤い細胞。赤血球の中につまっているヘモグロビンによって、呼吸で体内に取り込んだ酸素を全身に運びます。
先端チアノーゼ(せんたんちあのーぜ)
酸素不足により、皮膚が紫青色~暗赤色となった状態。
先天性の溶血性貧血
生まれつきの遺伝子の異常により、赤血球に異常が生じることによって起こる溶血性貧血。
直接クームス試験
採血した血液の赤血球に試薬を加えて、自己の赤血球を攻撃してしまう免疫成分(自己抗体や補体)がくっついているかどうかを確認する検査。
鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)
出血(大きなケガ、消化管や子宮からの出血など)、鉄分の摂取不足、妊娠などにより鉄分が足りなくなることによる貧血。
内視鏡検査
口または鼻、あるいは肛門から内視鏡を挿入して、消化管に外からは見えない「がん」などがないかどうかを調べる検査。
尿中ウロビリン
腸内細菌の作用でビリルビンから変化した物質であるウロビリノゲンが、さらに尿中で酸化してできた物質。尿中ウロビリンが上昇している場合は、赤血球の破壊(溶血)により大量にビリルビンが生じている可能性があります。
白血球
病原体や異物・がん細胞などの異常細胞・老化した細胞などを排除する役割をもつ細胞。免疫細胞とも呼びます。白血球(免疫細胞)には、マクロファージ・好中球・リンパ球など多くの種類があり、病原体を食べる・免疫物質(サイトカインや抗体)を出すなど、さまざまな役割があります。
ハプトグロビン
主に肝臓で作られるタンパクで、壊れた赤血球から放出されたヘモグロビンを肝臓に運ぶはたらきがあります。ハプトグロビン値が低下している場合は、赤血球の破壊(溶血)が起こっている可能性があります。運ばなければならないヘモグロビンが多すぎてハプトグロビンが足りなくなると、ヘモグロビンが肝臓に運ばれず、適切に処理されないまま腎臓から尿中に排泄されるため、腎臓に負担がかかります。
ビリルビン
壊れた赤血球から放出されたヘモグロビンが脾臓(ひぞう)や肝臓などで処理されてできる色素。ビリルビン値が上昇している場合は、赤血球の破壊(溶血)が起こっている可能性があります。
貧血
血液中の赤血球量が基準値以下に低下した状態。通常は採血した血液のヘモグロビン値によって判断します。赤血球の中につまっているヘモグロビンは、呼吸で体内に取り込んだ酸素を全身に運ぶ役割があるため、足りなくなると、酸素不足による頭痛、めまい、疲労感や、酸素不足を補うための体の反応(息切れや動悸)などがみられます。
糞中ステルコビリン
腸内細菌の作用でビリルビンから変化した物質であるウロビリノゲンが、さらに糞中で変性・酸化してできた物質。糞中ステルコビリンが上昇している場合は、赤血球の破壊(溶血)により大量にビリルビンが生じている可能性があります。
ヘモグロビン
赤血球の中につまっている、鉄を含む赤色の色素。酸素が豊富なところ(肺)では酸素をくっつけ、酸素が少ないところ(身体の各組織)では酸素を手放す性質があるため、効率よく酸素を配ることができます。ヘモグロビン値が基準値よりも低い場合を貧血と言います。
ヘモグロビン尿
ヘモグロビンを含む尿。溶血が著しく、壊れた赤血球から放出されたヘモグロビンが多い場合にみられます。赤血球はほとんどみられず、赤血球を含む血尿とは異なります。
補体(ほたい)
主に肝臓で作られ、血液中に存在している数十種類のタンパクで、病原体を排除したり、炎症を促進したりするはたらきがあります。補体は、抗体と違って、もともと、自分の正常な細胞・組織とそうでないものをあまり区別できないため、ふだんは多くの制御因子によりはたらきが抑えられ、抗体に導かれたときにはたらくなど、さまざまなしくみによってコントロールされています。
発作性寒冷ヘモグロビン尿症(ほっさせいかんれいへもぐろびんにょうしょう)
ドナート‐ランドスタイナー抗体(DL抗体)による自己免疫性溶血性貧血(AIHA)。DL抗体は身体の中心部よりも低温の場所で赤血球にくっつく性質がありますが、赤血球の凝集は起こしません。ウイルスなどの感染症をきっかけにまれに発症する疾患で、AIHAの中でもまれです。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(ほっさせいやかんへもぐろびんにょうしょう)
異常のある造血幹細胞(すべての血液細胞のもととなる細胞)が増え、補体の攻撃に弱い赤血球が増えることによる溶血性貧血。
末梢循環障害(まっしょうじゅんかんしょうがい)
手足などの体の末端部分(血管の末梢)の血液の流れが妨げられることによって起こる障害。寒冷凝集素症では、血管内の赤血球の凝集によって起こります。先端チアノーゼ、レイノー現象、違和感や痛みなどがみられ、ひどい場合には末端が壊死することもあります。
慢性疾患に伴う貧血
感染、炎症、腫瘍などの慢性疾患の影響による貧血。
免疫系
病原体や異物・がん細胞などの異常細胞・老化した細胞などを排除する役割をもつ細胞や分子。免疫系はリンパ球・好中球・マクロファージなどの白血球や、抗体、補体、サイトカイン(細胞を活性化する物質)、白血球を作る場である骨髄・胸腺・リンパ節・脾臓(ひぞう)などにより構成されます。
免疫細胞
病原体や異物・がん細胞などの異常細胞・老化した細胞などを排除する役割をもつ細胞。白血球とも呼びます。免疫細胞(白血球)には、マクロファージ・好中球・リンパ球など多くの種類があり、病原体を食べる・免疫物質(サイトカインや抗体)を出すなど、さまざまな役割があります。
溶血
赤血球が何らかの原因により生理的寿命(約120日)を迎える前に破壊されること。
MAT-JP-2405394-1.0-08/2024
最終更新日:2024年8月26日